2013.4.4(木)
05:15〜06:10/ストレッチ・軽く筋トレ・ゆる体操
06:20〜07:00/入浴、ストレッチ・正座
08:30〜09:30/経絡 治療院

せめて優しく、せめて丁寧に、せめて穏やかに・・・・・

さかなクンがギョ!と喜びそうな魚文字の並んでいる大きな湯呑(ゆのみ)を
両手で包みこむようにすると、店員さんの入れてくれた緑茶の香りと
ジワッとした温かさを同時に、やさしく感じることができる。

お皿が回転しないお寿司屋さんへ行くと、確実に財布が軽くなるけれど、
その代わりに、ある種の特別な温かさと重みを感じる。
ボクは思う。そこに温かい湯呑があるから、そこに両親がいるから、だと。

お寿司が出てくるまでは、また身長が伸びたとか、そういうところは誰に似ているとか
82歳でパソコン教室に通っているとか、お父さん(自分
)の子どもの頃は・・・・・・・とか
笑ったり感心したり、少しむくれたり照れたり、いわゆる、いつもの雑談が続いていた。

いつものように進行していたとき、いつもとは違う、”ちょっとしたこと”が発生した。
いち早く気付いたボクは、いままでの姿勢と視線を変えることなく
”ちょっとしたこと”のほうへ、ウサギがするようにして聞き耳を立ててみた。

お座敷にある、足を下に伸ばせる掘りごたつ式のテーブルから、
「よいしょっ」と立ち上がると、あの人は、長女の隣の席に移動する。
どんな話しがあるのだろうか、祖母から孫に、ボクはとても興味深かった。
楽しくて騒がしい思い思いの会話が飛び交うなかで、断片的に聞こえてくる
昭和一桁(ひとけた)と平成一桁の、二人だけの会話を拾い集めてみる。


ねぇNちゃん(長女)、このあいだね、お父さん(自分)に本をあげたんだけど、
よく考えてみたら、お父さんより、Nちゃんが読んだほうが良いと思うの。
お婆ちゃんは、こう思うのよ、Nちゃん。
これからの長い人生では、楽しいことばかりではなく、
辛いことや悲しいこと、
一人で泣きたいことだって、少なからず必ずあるものよ。
そういうときはね、”置かれた場所で咲きなさい”という本を開いてみなさい。
辛くなったらときには、本のことをを思い出してみてね。
その本を、Nちゃんの机の端に置いておきなさい。


壁に掛けた黒のジャケットを確認するようにして、ボクが振り返ると、
あの人特有の優しい表情、そして、長女の瞳がキラキラと輝いて見えた。
父親が話をするときには、その眼の中に反抗的な光を含ませるのに
祖母からの言葉には、何の疑いのない純粋な眼差しを長女はしている。
やや難しい年頃なんだけど、根は優しい娘なんだなぁ、と少し嬉しく思う。

お店を出たところでは、いつもの様子が繰り広げられていた。
あの人と両手で握手すると、少し恥ずかしそうにする長男(小6)。
あの人が軽く抱きしめると、嬉しそうに笑顔になる長女(高1)。

「ありがとうね、風邪ひかないように、じゃあまたねぇ」
そう言って、父と同時に嬉しそうに背中を向けた、あの人は82歳。
少し小さくなったように見える、あの人の背中を見ていたら、ボクの内側から
何かしらのジワッとしたものが、湧き出てくるのを感じていた。

できることなら、できるならば、あの人達の時間がゆっくりと流れて欲しい。
スピード調整が無理ならば、せめて優しく、丁寧に、穏やかに、と願っている。

孫に読ませたい本を、ありがとう、お母さん(^∀^)


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境遇を選ぶことはできないが、生き方を選ぶことはできる。
「現在」というかけがえのない時間を精一杯生きよう。


どんなところに置かれても花を咲かせる心を持ち続けよう。
「置かれた場所で咲きなさい」P15より 渡辺和子

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鳥唐定食、コーヒー、924円 華屋与兵衛 東新小岩店