2013.8.31(土)
04:00〜04:50/ストレッチ・軽く筋トレ・ゆる体操
04:55〜06:55/11キロWALKINNG(上平井橋〜高砂橋)
07:00〜07:40/入浴、ストレッチ・正座

君にとっては「虫のいい話」だった(秋虫の声を聞け・後篇)

ひところの勢いが感じられない。かつての力強さもない。伸びやかさに
陰りが見え始めている。それは仕方ないことだと思う。ハーゲンダッツを
冷凍庫に放り込むように、時間を瞬間冷凍して保存することはできない。

もちろん、日本の8月はキンチョウの夏だ。しかし、新しい季節の一部は、
「そろそろ、交代時期が近ずいてきたよ」と囁きながら、8月の最後尾に
そっと手を伸ばし始める。ついこのあいだまで、あれだけ威勢の良かった
セミ(蝉)の鳴き声は、運動不足のおっさんのようにがっくりと衰えてきた。

パンチパーマのように、バルタン星人のように絶対量が少なくなったセミは、
その最期のチカラを絞り出すようにして「俺たち(セミ)のことを忘れないで
くれ!」と必死に鳴いている。夏の終わりのセミは、ロウソクの灯が消える
前の一瞬のゆらゆらした揺らめきのように、最期のひと踏ん張りをして、
その使命を果たすために、そのバトンを渡そうとしているのだ。
「もうすぐ俺たちの季節は終わりなんだ。次は君たち、秋虫の出番だよ。
どうだい、そろそろ準備はいいかい?」

今朝、ウォーキングをしていたら、セミに背中を押されていた河川敷の秋虫が
リンリン〜リンリンと初々しい声で鳴いていた。その声に、そっと耳を澄まして
いたら、元気のいい秋虫がボクに優しく話しかけてきた。

最近は毎日やってくるね、調子良さそうだし、楽しそうだから安心したよ。
(えっ!虫君はボクのことを知っているの?)

もちろん、君のことは前から知っている。3〜4年前は速く走っていた。
その時の君は恰好よかった。だけど恰好悪かった。いまは凄くいい。
(ごめん、何を言っている意味が分からないんだ。何が悪くて何が良いの?)

やれやれ、まあいいや。それでは少し長くなるけど少し遡って説明しよう。
あの頃の君は目標に対して、ただ真っ直ぐだった。ただ純粋だった。
信号のない高速道路を走るように、とても素晴らしいことだと君は考えた。
そう信じていた。しかし、純粋さは単純のグループの一部でもあるんだ。

あの頃の君は、僕たち(虫君)の声をまったく聞かなかった。
そもそも最初から、聞こうという意志がなかった。君はムシを無視したんだ。
都合のいいことだけを選択して、その他は深く考えることなく、ばっさりと
切り捨ててしまった。それはつまり、君にとっては「虫のいい話」だったのだ。
君は純粋さゆえに、単純さゆえに、ちゃんと考えなかなった。
考えないことは、忘却の一部に吸収合併される。忘却はリスクに含有する。
シートン動物記、ファーブル昆虫記を読んだことも、君は忘れていたんだ。
(虫君の言う通り、たしかに忘れていた。イロイロト ワスレテイタ)

だけど君は反省をした。後悔より反省を選んだ。僕たち(虫君)がいちばん
嫌っている「虫唾が走る」ことを君は選択しなかった。それだけは良かった。
君は誰かのせいにもしないし、何かしらの責任にもしなかった。
ことの良し悪しは別として、いつでも自己完結を試みていた。

そして、君はふたたび歩き始めた。今度の君は、セミの声も僕たち(虫君)
のことも考えるようになった。目を開いて、聞く耳を持つようになった。
しっかりとしていなかった君がしっかりしてきた。少しだけ、少しづつだけど。
(虫君、ありがとう。ところで、どうしてそんなに、ボクを知っているの?)

黄金バットと僕たち(虫君)は、昭和の時代から何でも知っているんだ。
もちろん、君のことだけではなく世界中のことを知っている。世界的なんだ。
(それでは、由紀さおりとピンク・マルティーニのことも知っているの?)

もちろんだ。僕たち(虫君)は彼女の歌声を最高評価している。
じつは「夜明けのスキャット」をお手本にして、鳴くこともあるくらいなんだ。
(それは凄いね。世界的な虫君は本当に凄いんだね)

大丈夫だよ。君もこれから世界的になるのだ。
(ボクは世界的じゃない、せいぜい葛飾区的がいいところだよ)

やれやれ、君は少し馬鹿なんだね。そういう地政学的な意味ではないんだ。
僕(虫君)の言っている世界とは、君の内にある世界であり、君の外にある
世界のことなんだ。カイガイ(海外)ではなく、ナイガイ(内外)なんだよ。
(ごめん、言っている意味が分からないんだ。世界の内外とは?)

やれやれ、君はオタンコナスだね。それでは簡単簡潔に、アインシュタイン
博士の相対性理論のように、分かりやすく具体的に説明してあげよう。
君はマラソンを走りたい。具体的にはフルマラソンを歩かずに完走したい。
いつの日か、そう思っている。あるいは目指している。そうだよね?
(もちろん、その通り。虫君の言う通りだ)

ところがだ、君の求めているフルマラソンは君の外側の世界にアル。リアル。
もちろん、過去には君の内側にあったけれど、いまは存在していない。ナイ。
(もちろん、その通り。虫君の言う通りだ)

いま君は歩き出した。まいにち朝4時に起きて5時から歩いている。かつて
マラソン練習のために走っていた同じ河川敷コース、同じ距離の11キロを
2時間かけて歩いている。それは走るためであり、それはマラソンのためだ。
君の外側にあるマラソンを、君の内側に入れようとしている。試みている。
(もちろん、その通り。虫君の言う通りだ)

これが君の世界だ。君の世界は、きみの外側だけに存在してはいけない。
そして、君の(求める)世界は、きみの内側だけにあってもいけない。
君の世界は、いつでも君の内側と外側に両方にあるのだ。そこにある
境界線は、内外タイムスのように出し入れが容易にできるようにしておくこと。
ノウミサンのピッチングのように、内から外、外から内、これがタイガースの
エースの生命線なんだ。クロスファイヤーなんだ。
(ノウミサンは、先日の巨人戦で勝てなかったけど・・・・・)

それは結果論だ。ノウミサンは降板したベンチでケリを入れて、グラブを
叩きつけた。ジェフ・ベックのような、そんな孤高のエースを傍観者の誰が
責めるられるのか。
(阪神のことになると、虫君のテンションが上がってきたようだが・・・)

あなたが世界にもたらすことができる最も重要な成果の一つは、
あなたが、本当になりたい自分になることである。

ロバート・フリッツ(米国の作家、経営コンサルタント、作曲家、映画制作者)

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