心から幸せを感じるのは ”感情的な報酬” とボクは思う

あれっ〜と思った。誰もいないなんて、これはちょっとおかしい。

ついさきほど、たった3分前に見た腕時計を念のため再確認する。
時刻は日本時間の12時25分だ。ハワイ時間の待合せとは聞いていない。
新小岩にある武蔵川部屋の師匠(元横綱 武蔵丸)が来るとは聞いていない。
だったら今は集合時間の5分前、マジで恋する5秒前、マジで焦る5秒前。
(ゴメン、お騒がせの広末は嫌いじゃないんだ、とっても〜とっても〜とっても)

ボクの時計に問題はない、ボクの頭には小さな問題はあるが、特に大きな問題
はない(つもり)。それではどうして誰ひとりいないのか、劇団ひとりはいないのか。
「集合場所には早めに来てはいけない」という特別なルールでもあるのだろうか。
下らない頭で下らないことを、まるで安物のイクラのようにイクラ考えたところで
下らない結論しか出なかった。どうしよう〜下らないボクはどうしたら良いのか?
突然の雨雲が空いっぱいに垂れこめたようにボクの呼吸が重苦しくなってきた。

ひょっとして3月29日(土)の今日じゃなかったか?それは明日だったか?
しかし、雨天の場合は日曜日に順延するという説明があったはずだ。
やっぱり明日の日曜ではないのだ。やっぱり街頭募金は今日しかないはずだ。

ちょうどそのときにだった。手話サークルの会員さん3人がやってきた。
「どうも〜お疲れ様で〜す」 春の陽射しのように柔らかい表情である。
そうしたらどこからともなく、次から次へと、どんどん人が集まってきた。
あァ〜そうか、そ〜なんだ、午後1時から募金活動がスタートだから、
こういう感じの集まり方で良かったんだ。郷に入れば郷に従え、なのだ。
来日するオバマ大統領のSPでもないし、ケビン・コスナーでもないのだから、
そんなにピリピリしなくても、そんなにコチコチに緊張しなくても良いのである。

12時55分、集合場所(新小岩駅前)に約15〜20人前後の人たちが集まる。
募金活動用の帽子、チラシ、募金箱、大きな手(80cm?)の小道具、等々。
実施する場所は3カ所、南口は交番前とクッターナ前、北口は改札を出た
あたりのスペースである。ボクが指示されたのは南口のクッターナ前だった。

そして最初の活動、人生53年にして初の街頭募金活動がついに始まった。
ボクの最初の行為は、募金活動の趣旨について書いてある文書(A4で1枚)
を大きな声で読み上げることだ。もちろん、駅前の不特定多数の人たちに
向かってである。募金と言えば「よろしくお願いしま〜す!」と思っていたので
”えっ〜これ(意外と長文である)を読み上げるんだぁ〜”と思った。
ちょっと戸惑い、ちょっと緊張する、ちょっとした馬鹿親爺は53歳と9か月。
(こうやって53歳と言えるのは3か月少々だから、もっともっと言おうと思う)

人が人生からより多くのものを引き出すという点で、
私たちがボランティアに費やす時間は最も貴重なものである。
この種の仕事には物質的な報酬はないが、感情的に大きな報酬がある。
ヘーゼルデン財団
(米国ミネソタ州に本部を持つ依存症回復施設、治療・研究・教育・出版活動団体)
『「今日一日」のヒント』(TODAY'S GIFT)


arigatou