KAZUの完全復活を目指して

平成23年1月1日元旦の午前1時 年越しJOGの途中で転倒して大怪我をした。 大腿部と手首の骨折〜救急車の搬送〜2回の入院と手術を経て2月9日に退院。 そして退院後のリハビリ通院は79回をもって、平成23年6月29日に終了した。 さぁこれから、ここから、どこまで出来るのか、本当に復活(完全)出来るのか? 本気でヤルのか、情熱を注げるのか、そして過去を超えられるのか? 質問と疑問に対して、正々堂々と、決して逃げずに、答えを出してみよう。 こういう人生を、こういう生き方を、思い切り楽しんでみよう。 KAZUさんよ、タイトルに負けるなよ!

2019年06月

13時予備校の恋(22)

13時予備校の恋(22

 

心と身体はブラックホールに吸い込まれるように一
気に持っていかれそうだった。それは心地よかった。
それでも良い。いや、それが良いと思った。


その一方で何かがおかしい、何かが違うとも感じた。

 

わたしから誘いだした時に答える、彼女の言い草な
のだ。間違いなく、誘ったのは彼女なのに。


私はそれでも良かった。不満はない。これから悩み

多き浪人生の新しい恋が始まろうとしていた。そん

なときに、そんなことはどうでも良いことだった。

「じゃあ行こうか(喫茶店)」と促すと、彼女は分

かったわ!という顔で頷いた。二人は歩き出した。


高田馬場の西友から喫茶店までが、わたしと彼女が初
めて一緒に歩いた道だった。


夕方の粘り強い太陽は、建物の隙間を見つけ出しては
歩道を歩く思慮の浅い人、空腹な人、動揺が隠せない

若者たちに、眩しい西日を照射して大いに喜んでいた。

しかし、いくら太陽が頑張ったところで残暑は残暑、

回転寿司は回転寿司だ。サーモンとマグロが違うよ

うに、あるいは急須で淹れた2回目のお茶のように、
秋の浸蝕が開始した残暑は本物の夏とは言えない。

わたしは急に切なくなる。まるで、楽しみにしてい
た連続ドラマが録画切れだったときの気分だった。

今年の残暑は短い。そしてまた秋も短い。冬は駆け足
でやってくる。おそらく恐ろしく寒い冬になるだろう。

2回目の大学受験は、あっという間にやってくるのだ。

13時予備校の恋(21)

13時予備校の恋(21

 

わたしの目の中に、彼女の探しているものが、本当
にあるのか、ないのかを確かめている様子だった。
さながら「わたしの御眼鏡にかなうかどうか、思案
中よ!」といったところか。


わたしは、彼女の次の言葉を待っていたが、昭和の
アイドル歌手みたいに、おざなりの小さな微笑みを
浮かべるだけだった。

 

甘くて無口なシュクリームみたいに、彼女は何も言
わないまま、数秒間の間があった。私はドキドキして
ジリジリした。試験開始の声を待っているように。

わたしは先に根負けする。「では、ど、どこかにお茶
飲みに行こうか?」喉の奥の方から懸命に言葉を絞り
だした。頼りなくて情けなくて女々しい声だった。

それでも彼女はすぐに反応する。「そうね!」高級な
真珠みたいに、瞳をキラリと一瞬だけ輝かせた。

いま、あなたは緊張して、それを隠そうとしている。
いいわ、あなたの動揺に気が付かない振りをしてあ
げるわ!という含んだ笑いをしながら「そうね、そ
れでもいいわ」赤い唇は、わたしに囁きかけた。

いままで話をしなかった彼女と、こうしてほとんど
初めて、まともに会話をした。彼女の魅力はいつも
通りだったが、わたしはいつも通りにヘタレだった。

 

心と身体はブラックホールに吸い込まれるように一
気に持っていかれそうだった。それは心地よかった。
それでも良い。いや、それが良いと思った。

その一方で何かがおかしい、何かが違うとも感じた。

13時予備校の恋

13時予備校の恋

 

「今日は買物しなくて良くなったの」と言い、三

日月みたいに怪しい笑顔を意味ありげに浮かべた。

少し憎たらしいけど可愛いと思った。「(宿題はな
かったのに)宿題終わったわ。お母さん、おやつ
頂戴よ!」しれっと嘘を言う小娘のようだった。

 

彼女の妖艶な表情を目の当たりにして、わたしは
少しうっとり、少し油断をした。餃子とビールの
ように、うっとりと油断は男の定番メニューだ。

 

そのとき、彼女の顔は女の子から女に変る。

 

赤い唇を閉じて、わたしに顔を近づけて、静かに

眼を閉じて、唇をすぼめて突きだす。わたしに何

かの行動を求めてということは起こらなかった。

そのときは、ただ、それだけのことだった。

 

それだけのことだったが、それでもわたしの心拍
数は急上昇した。ドキドキが、ロマンチックが止

まらない。19歳の浪人生、恋の弾丸スタート。

一方の彼女の方は凍らせた豆腐みたいに冷静だった。
国際空港の手荷物検査員のような目をしていた。

 

わたしの目の中に、彼女の探しているものが、本当
にあるのか、ないのかを確かめている様子だった。
さながら「わたしの御眼鏡にかなうかどうか、思案
中よ!」といったところか。


わたしは、彼女の次の言葉を待っていたが、昭和の
アイドル歌手みたいに、おざなりの小さな微笑みを
浮かべるだけだった。

13時予備校の恋

13時予備校の恋

 

西友の前で20分間、私の首は左右に揺れ続けた
。約束の時間から10分遅れて、彼女は表れた。

プーチン大統領のように堂々と遅れてやってき
た。美しい胸の曲線の彼女は甘く微笑んでいた。

 

「待った?遅れてごめんね」と言ったが、ゴメ
ンの顔ではない。「見ての通りだよ。待ったに
決まっている」と言いたかったが言わなかった。

わたしは「いや、ちょっと前に来たから」と小
さな嘘をついた。相変らず嘘の多い男なのだ。

 

彼女は3僂世艶く。反応はそれだけだった。
あとは何も言わなかった。次はわたしから何か
を言わなければいけないと思ったら、口から言
葉がポロッと出てきた。

 

「買物って西友なの?」と尋ねた。彼女の手が
マジックの小鳩みたいに、サッと飛び出てきた。

彼女は手首を回して手の平をヒラヒラさせた。腱
鞘炎のリハビリ運動を教える理学療法士のように。

彼女は「それ、違うの!」と言った。まるで、わ
たしの方が勘違いしているような言い方だった。

 

「今日は買物しなくて良くなったの」と言い、三

日月みたいに怪しい笑顔を意味ありげに浮かべた。

少し憎たらしいけど可愛いと思った。「(宿題はな
かったのに)宿題終わったわ。お母さん、おやつ
頂戴よ!」しれっと嘘を言う小娘のようだった。

13時予備校の恋

13時予備校の恋

「特に予定はないから別に良いよ!」
わざと無表情を顔に貼りつけて言った。

彼女もまた、まったく負けていなかった。

 

20分後に西友の前で!」唸るよう
に彼女は言った。単なる伝言みたいに。

恋する乙女の笑顔、振り向き、後ろ髪も
ない。「そうですか、他に用はありません」
職務質問の巡査並みにサバサバした顔し
て、彼女はサッサと教室を出て行った。

ほんの10秒くらいのことだ。微かなエメロ
ンリンスの香りだけを微かに残して去った。


まるで敗戦を通知された国民みたいに、教
室は水を打ったように落胆の静寂に包まれた。

不思議と不可解が交じり合い、ぶつかりあい
、接着と反発を繰り返した。私に余韻に浸る
時間はなかった。今は、とにかく西友なのだ。

競歩みたいな歩き方で10分後に西友に到着
した。彼女は店内にも店外にも見当たらない。

安物だけど時間の正確さだけが取り柄のカシ
オのデジタル腕時計をわたしは39回確認した。

西友の前で20分間、私の首は左右に揺れ続けた
。約束の時間から10分遅れて、彼女は表れた。

プーチン大統領のように堂々と遅れてやってき
た。美しい胸の曲線の彼女は甘く微笑んでいた。

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