心の大きさ その

 

黒いリュックを背負い、黒い空を見上げ、黒い目
と老いた両手を上げ見えない無数の星を掴み、
元旦(
2011年)の出来立ての冷えた空気を肺に
吸い込み、両手をだらんと下ろしながら、わたし
は白い息をハァ〜と吐きだした。

瀕死の雪男のように。


白い息は、習志野市の田舎臭い空気の中に
アッという間に飲み込まれて消滅した。
3回続けたが、結果は同じだった。

「そんなものは通用しない」と叱られた気がした。

このときに感じた負の感情は、この後の惨劇へ
の暗示であり、招待でもある。

 

先ほど掴んだ星と僅かばかりの幸運の全部を
私はここで手放してしまったのだ。


背負ったリュックを下ろす。顎を上げ、缶コーヒー
の底をポンポンと叩き、最後の一滴まで喉の奥へ
と流し込む。汗臭いだけではなく、貧乏くさい人間
の貧乏くさい行為だ。

 

汗を含んだリュクのすえた臭いを素早く嗅ぎ、素早く
後悔した。捕獲されたドブ鼠のように周辺をキョロ
キョロと見回したが、コンビニ以外は暗闇だった。

エネルギー補充のパワースポット等はない。
当たり前だ。世界は、わたしを
中心に回っていないのだ。


ありふれた人間は、ありふれたコンビニの店内を覗いた。

店員は安物の丸椅子に座っていた。脂の乗った肉厚
の背中を丸めて短い両足を一生懸命に伸ばしていた。
わたしだって一生懸命だと、アピールするように。

また店員は左足首の上に右足首をクロスさせていた。
それが、わたしは気に入らなかった。


私だけではない。この店員の姿を鍼灸師、接骨師、
整体師、整形外科医が見たときの表情は、ハッキリ
2つに分かれる。顔をしかめるか、相好を崩すか?

Take
先生のような治療家は不本意な顔をする。
「腰が痛い?首が痛い?あなたね。その体型と
その姿勢が原因ですよ。まずは生活改善しない
と良くなりません」

 

その一方で微笑みの自称治療家(他称守銭奴)
こう言う。「毎日通院したら必ず良くなりますから、
保険効きますから、月初ですから(商売ですから)
ここに名前書いて下さい」

 

まさか、わたしがそんなこと(馬鹿げたこと、戯言)を
考えているなんて、コンビニの店員は夢にも思って
いなかったはずだった。

BY THE WAY ところがだ…..


オリジン弁当
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