13時予備校の恋

 

さて、予備校に話しを戻そう。4月のクラス開校時
30人いたのに9月になると20人前後に減少した。
女性8人は屈強だ。脱落者は、1人もいなかった。

屈強女性陣の中でも、彼女はとりわけ目を引いた。
断トツの容姿。「彼女を好きに」と私に打ち明けた
のは、純粋、純情で気の弱いY君(福島県出身)だ。

わたしは“ふうん”と思った。それだけだった。

Y
君の視線はいつでも彼女に向いていた。また
他の男性同様に、わたしの視線も彼女だった。

しかしそれは、恋とか愛とは違うものだった。不
埒な定点カメラが、綺麗な赤い薔薇に自然と向く
ように、全世界男性の潜在的自然現象だった。

サブスリーが狙える35漸瓩、浪人生の秋、熱湯
を入れて3分間待つカップヌードル、佐渡島でト
キを野生に戻す活動など、誰の人生においても、
多かれ少なから、大なり小なり、それが苦しくて
も辛くても、耐えて我慢すべきトキがある。


大学受験に真剣に取り組む彼女の必死な気持ちは
、教室の後ろにいても、会話がなくても、強烈な
気圧が伝わるように、わたしまで届いていた。

デパ地下を徘徊する親爺のように、初めから買う
気のない試食は、それは大変なことになる。

浪人生には守るべき3つの掟がある。^枩を好き
になってはいけない。好きになっても口説いては
いけない。9イでもないのに口説いてはいけない。