13時予備校の恋(23

 

わたしは急に切なくなる。まるで、楽しみにしてい
た連続ドラマが録画切れだったときの気分だった。

今年の残暑は短い。そしてまた秋も短い。冬は駆け足
でやってくる。おそらく恐ろしく寒い冬になるだろう。

2回目の大学受験は、あっという間にやってくるのだ。

 

わたしたちは横に並んで歩こうとした。しかし、初対
面の男女の二人三脚みたいに上手くいかなかった。

駅前の雑踏をぎこちなく歩きながら、二人の肩が僅かに

触れる。そのたびにお互いの身体はキュッと収縮する。

彼女は大胆だけど純情、わたしは軽薄だけど純情だった。

そして夕刻の高田馬場は暇過ぎる人間が多過ぎたのだ。

わたしは、まるで雲の上を歩いているようなフワフワし

た不思議な感覚だった。そして何より不思議なのは教室

で見ていた(5m位離れた距離)、今まで話さなった彼女

と、二人で歩いているという現実そのものだった。

わたしは、わたしの少し後を歩く彼女を何度も振り返り
いつもよりも意識的にゆっくりと歩いた。ここで彼女を

見失ったら、もう二度と会えないような気がしたのだ。

突然の恋にうろたえるゾウガメになった気分だった。

喧噪から避難するように、世間から逃避するように、
最初に目に入った喫茶店に雪崩れ込むように入った。

そこが珈琲館か、ルノアールか、どこの喫茶店か忘れて

しまったが、どちらにしてもスターバックスは日本に進

出していなかったし、どちらにしても、そこは大した喫
茶店ではなく、そこは大した問題ではなかった。