13時予備校の恋(39

 

蝶々をモスラに、3体の龍を無理矢理くっつけてキング

ギドラにした東宝(円谷プロ)のように、ここまで言う
と言い過ぎ、やり過ぎ、妄想が過ぎたかもしれない。

しかし、ニュアンスとしては間違いない。ライオン
はネコ科、虎もネコ科、モスラは蝶々科なのだ。

 

初春の陽射しのような穏やかさを取り戻した洋子は
身体を少しだけ前に乗り出して、美しい髪の臭いを

嗅がせてくれた。朝シャンの香りが鼻孔をくすぐった。

 

わたしの舌先にツンとした甘酸っぱい味がした。

 

初恋がカルピスだとしたら、それはアルコール入りの
カルピスサワーだったのかもしれない。

 

キャバ嬢みたいに「本日のサービスはこれだけよ」と
いう挑発的な微笑みを浮かべた洋子は、子どもの絵本
読み聞かせみたいに意図的に目線を落として高級羽毛

布団のような柔軟に包み込むソフトな声で言った。

 

「それからもう1つ言わしてもらうわ」洋子は言った。

本当にもう1つなのか?それは新しくて大きな疑問

であり、同時にまた、新しくて大きな不安だった。

「洋子は簡単な女じゃないのだ!」心の中で唸る。

 

右手が無造作に髪をかき上げたとき、洋子の額の右端に
小さい汗の粒が2つ浮かんだ。それは発育中の真珠の
ように見えた。洋子は真剣な目で真剣に持論を力説した。

 

どことなく怪しさを含んだ、あるいは意図的に含ませた

真剣さだった。優秀なマルチ商法の販売員みたいに。