聲の形(こえのかたち)第1〜7巻 感想記
ところで、私は、あの女の子に、ちゃんと謝ったのだろうか.....。
昨夜、第7巻が読み終わったのは、あと20分で今日になる時間だった。
ランナー満塁でファーボールを出したように、私の予定が押し出された。
今朝のジョグはいつもより2時間遅れの午前6時だった。山手線が2時間
遅れたら大変な騒ぎになる。しかし、わたしのランニングが2時間早くても
遅くても、そこには何の問題も発生しない。この世界は私に無関心なのだ。
わたしは玄関を出て、まず、玄関前にあった朝の空気を肺に吸い込んだ。
その空気は、いつもとは違っていた。空気の中には、雨が降る前の挨拶
としての、ずっしりとした湿度感が含まれていた。また、わたしの身体も
いつもとは違っていた。偽の羽毛布団のように、身体はそれなりにフワフワ
していたが、心の中はしっとりとした湿度があった。その原因は、昨夜に
読んだ「聲の形」かもしれない。昨夜に食べ過ぎた焼き芋かもしれない。
あるいは、単なる気のせいかもしれない。
今朝わたしは、「聲の形」のことばかり考えながら、走っていた。いろいろ
と、それ以外のことも考えていたが、主に2つのことを中心に考えた。
1つは、貴田みどりさんの講演会(10/27)だった。美しく、そして楽しそうに
手話していたみどりさんが、ある話しのときの、ある瞬間に、とても辛そうな
表情に急変した。それは、聞こえないみどりさんが、ろう学校ではなくて、
普通学校に通っていたときに感じた、差別などの辛い体験談だった。
もしわたしが貴田みどりさんの同級生だったら、と考えた。しかし、それは
とんでもない、わたしの驕り(おごり)だった。勘違いにも、ほどがあるのだ。
「聲の形」を読んだ時に、その理由がはっきりと分かった。それが2つめだ。
それは、工藤静香やマライア・キャリーがまだ生まれていない頃だ。わたしは
小学校2年生だった。同じクラスに、ある女の子がいた。その女の子は、見た
目は普通だったが、歩くときは人より遅かった。いつも、脚を持ち上げてから
引きずるように歩いていた。その歩き方を、わたしは真似をした。その子が、
嫌がるのが分かっていながら、わたしはそういうことをしたのだ。しかも、楽し
そうに。席替えのときに、その女の子が隣りになった。その時に事件が起きた。
それが、一体どういう理由から発生したのか、わたしは全く覚えていない。
しかし、その時の衝撃を、わたしの身体と心はハッキリと覚えている。
わたしが、その女の子をからかったときに、その子が突然、トマトみたいに
真っ赤な顔になった。その子は、手に持っていた鉛筆を、わたしの左肩に、
思い切り突き刺した。溢れる感情を、その鉛筆に託したのだ。
鉛筆の先の黒い芯だけがポキッと折れて、わたしの左腕に突き刺さった。
わたしは怖くなった。初めて、その女の子が猛烈に怒った。とても怖かった。
わたしは泣かなかったが、初めて感じるような真っ黒で真っ赤な恐怖を感じた。
震えながら芯を抜いたら、真っ赤な血が流れてきた。そのとき、私は理解した。
こうなった全て、わたしが悪い。わたしの全てが悪い。わたしは、惨めだった。
この体験は、ほとんど忘れていたが、「聲の形」を読んだ時に、あの時の状況と、
自分の気持ちが、まるでDVD映像を見るているように鮮明に蘇ってきた。
ところで、わたしは、あの女の子に、ちゃんと謝ったのだろうか.....。
ところで、私は、あの女の子に、ちゃんと謝ったのだろうか.....。
昨夜、第7巻が読み終わったのは、あと20分で今日になる時間だった。
ランナー満塁でファーボールを出したように、私の予定が押し出された。
今朝のジョグはいつもより2時間遅れの午前6時だった。山手線が2時間
遅れたら大変な騒ぎになる。しかし、わたしのランニングが2時間早くても
遅くても、そこには何の問題も発生しない。この世界は私に無関心なのだ。
わたしは玄関を出て、まず、玄関前にあった朝の空気を肺に吸い込んだ。
その空気は、いつもとは違っていた。空気の中には、雨が降る前の挨拶
としての、ずっしりとした湿度感が含まれていた。また、わたしの身体も
いつもとは違っていた。偽の羽毛布団のように、身体はそれなりにフワフワ
していたが、心の中はしっとりとした湿度があった。その原因は、昨夜に
読んだ「聲の形」かもしれない。昨夜に食べ過ぎた焼き芋かもしれない。
あるいは、単なる気のせいかもしれない。
今朝わたしは、「聲の形」のことばかり考えながら、走っていた。いろいろ
と、それ以外のことも考えていたが、主に2つのことを中心に考えた。
1つは、貴田みどりさんの講演会(10/27)だった。美しく、そして楽しそうに
手話していたみどりさんが、ある話しのときの、ある瞬間に、とても辛そうな
表情に急変した。それは、聞こえないみどりさんが、ろう学校ではなくて、
普通学校に通っていたときに感じた、差別などの辛い体験談だった。
もしわたしが貴田みどりさんの同級生だったら、と考えた。しかし、それは
とんでもない、わたしの驕り(おごり)だった。勘違いにも、ほどがあるのだ。
「聲の形」を読んだ時に、その理由がはっきりと分かった。それが2つめだ。
それは、工藤静香やマライア・キャリーがまだ生まれていない頃だ。わたしは
小学校2年生だった。同じクラスに、ある女の子がいた。その女の子は、見た
目は普通だったが、歩くときは人より遅かった。いつも、脚を持ち上げてから
引きずるように歩いていた。その歩き方を、わたしは真似をした。その子が、
嫌がるのが分かっていながら、わたしはそういうことをしたのだ。しかも、楽し
そうに。席替えのときに、その女の子が隣りになった。その時に事件が起きた。
それが、一体どういう理由から発生したのか、わたしは全く覚えていない。
しかし、その時の衝撃を、わたしの身体と心はハッキリと覚えている。
わたしが、その女の子をからかったときに、その子が突然、トマトみたいに
真っ赤な顔になった。その子は、手に持っていた鉛筆を、わたしの左肩に、
思い切り突き刺した。溢れる感情を、その鉛筆に託したのだ。
鉛筆の先の黒い芯だけがポキッと折れて、わたしの左腕に突き刺さった。
わたしは怖くなった。初めて、その女の子が猛烈に怒った。とても怖かった。
わたしは泣かなかったが、初めて感じるような真っ黒で真っ赤な恐怖を感じた。
震えながら芯を抜いたら、真っ赤な血が流れてきた。そのとき、私は理解した。
こうなった全て、わたしが悪い。わたしの全てが悪い。わたしは、惨めだった。
この体験は、ほとんど忘れていたが、「聲の形」を読んだ時に、あの時の状況と、
自分の気持ちが、まるでDVD映像を見るているように鮮明に蘇ってきた。
ところで、わたしは、あの女の子に、ちゃんと謝ったのだろうか.....。